中国の習近平（しゅう・きんぺい）政権は二カ月半遅れで全人代開催にこぎ着け、新型コロナの感染拡大をいち早く収束させたことを印象付けた。だが本格的な経済回復への道筋は描けていない。
理由の一つは、コロナ禍による世界経済の混迷が深刻化していることだ。世界全体への影響が見通せない中、経済成長目標を掲げることは、経済政策にかえって悪影響を与えるという指摘が出ていた。今年の経済成長率目標の設定を見送る苦渋の判断を迫られた。
昨年の成長率は６・１％で、目標の６〜６・５％の範囲内だった。だが今年一〜三月期は、前年同期比６・８％減と四半期ベースでは初のマイナスに陥り、習政権が二〇二〇年までの十年間で国内総生産（ＧＤＰ）を倍増する目標は達成が困難となった。
李克強（り・こくきょう）首相の政府活動報告では、財政赤字の増加を容認する方針が示されたほか、減税や公共料金の引き下げによる企業負担の軽減や、第五世代（５Ｇ）移動通信システム整備などハイテク投資の拡充も盛り込まれた。
予算案を承認する全人代の開催が遅れ、景気対策はこれまで金融政策が中心だったが、今後は財政出動を伴う対策が実行に移される。ただ中国ではリーマン・ショック後に四兆元（約六十兆円）規模の経済対策を打ち出し債務膨張に苦しんだ経験があり、今回は財政の健全性をにらんだ手堅い対応となった。加えて国外では深刻な感染状況が続いており、中国経済が頼る外需の回復は見通せていない。 （北京・坪井千隼）
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May 22, 2020 at 12:07PM
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経済回復の道筋描けず 中国全人代、ＧＤＰ倍増達成困難:国際(TOKYO Web) - 東京新聞
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