【ベルリン=石川潤、フランクフルト=深尾幸生】ドイツ政府は13日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた企業などの資金繰りを支援するため、総額に上限を設けない無制限の信用供与を実施すると発表した。メルケル首相は同日、「必要なことは何でもやるつもりだ」と語った。独ルフトハンザ航空はドイツ政府などに資金繰りなどの支援を要請することを明らかにした。
無制限の信用供与策はショルツ財務相とアルトマイヤー経済相が13日開いた記者会見で明らかにした。ショルツ氏は「我々は利用できるあらゆる手段を用いる」と語り、急激な売り上げの減少や資金回収の遅れなどで資金繰りに不安を抱えている企業の救済に全力を挙げる考えを示した。
ショルツ氏が「バズーカ砲」と呼ぶ今回の信用供与策は、ドイツ復興金融公庫(KfW)などが実際の融資などを担う見通しだ。最終的にどれだけの金額に膨らむかは不透明だが、信用不安の連鎖を防ぐために限度を設けずに取り組む。必要があれば別途、景気対策も検討するという。
ドイツ政府はこれまで健全財政を重視して大胆な景気対策に及び腰だったが、危機の広がりを前に姿勢を変化させつつある。メルケル氏も最近は財政黒字にこだわらない考えを示していた。
政府の態度の変化の背景にあるのが、企業に広がる不安感だ。独ルフトハンザ航空はグループ各社が拠点を置くドイツ、オーストリア、スイス、ベルギーの各政府と協議に入った。すでに中国便やイタリア便などを中心に大幅に休航しているのに加え、米国による欧州大陸からの入国禁止措置で旅客需要が激減することを受けた措置だ。
ルフトハンザは中国便やイラン便などを休止し、6日には約50%の輸送能力を削減すると発表していた。13日からは米国が英国を除く欧州からの入国を禁止する。ロイター通信によると、ルフトハンザは欧米便の9割以上を欠航。同社が世界で運用する約800機のうち少なくとも3分の2を地上にとどめる。
航空業界だけではない。ドイツ国内では大型イベントの中止や外出の自粛で消費の急激な落ち込みが避けられない情勢だ。調達網の寸断で生産の停滞が長引く可能性も高まっている。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は12日、各国政府に「野心的で協調的な財政政策」を求めていた。
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March 14, 2020 at 12:48AM
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ドイツ政府、企業に無制限の信用供与 - 日本経済新聞
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